[講義内容]
この講義では、国際経済理論を学習し、その理論から国際経済の歴史と現状とがどのように説明されうるかを理解し、現代国際経済の持つ様々な問題に対する客観的な見方や評価ができるようになることを目的とします。この講義で勉強する国際経済理論は、為替レートの決定を中心とする国際金融理論、マクロ経済学の応用である国際マクロ経済学、そして、ミクロ経済学の応用である国際貿易論から成り立っています。それぞれ、現代経済学理論の応用ですが、この講義では、基礎知識は要求せず、必要に応じて基礎理論から説明を行います。各理論の勉強とともに、理論の現実の経済への応用、歴史から見た評価なども勉強します。その上で、最近ニュースに取り上げられている為替レート変動、経常収支黒字問題、日本企業の海外進出などといった問題について、現状を正確に理解し、各自が自分の意見を持てるようになることを期待しています。
[参考文献]
テキストは特に指定しません。前期に勉強する国際金融理論についての参考文献として、高木信二著「入門国際金融(第2版)」日本評論社、1999年、後期に勉強する国際貿易論についての参考文献として、クルグマン・オブズフェルド(石井菜穂子他訳)「国際経済 理論と政策:I 国際貿易(第3版)」新世社、1996年、また、日本経済を中心とした現実と理論の対応について、伊藤元重「ゼミナール国際経済入門(第2版)」日本経済新聞社、1996年をあげておきます。また、「日本経済を中心にした国際比較統計」日本銀行、で、為替レートや国際収支の動向や、世界各国の経済指標などのデータを、手軽に見ることが出来ます。
[評価方法とその基準]
前期試験(50%)と後期試験(50%)により、評価します。
学生の理解を助けるため、練習問題を課すこともありますが、評価には加えません。
前期 [第1回] 国際経済の見方:講義の概観と問題意識 [第2−3回] 為替レートと外国為替市場:さまざまな外国為替取引 [第4−5回]短期の為替レート決定 :アセットアプローチ・効率的市場 [第6−7回] 長期の為替レートの決定:購買力平価説・バラサ=サミュエルソン効果 [第8回] 外国為替介入:外国為替市場への中央銀行の介入 [第9回] 固定為替相場制:ブレトウッズ=スミソニアン体制 [第10回] 国際収支と国民所得勘定(1):国際収支表の見方と国際収支の概念 [第11回]国際収支と国民所得勘定(2):貯蓄・投資と経常収支(ISバランス論) 後期 [第12回] 為替レートとマクロ経済(1):マンデル=フレミングモデル [第13回]為替レートとマクロ経済(2):国際マクロ政策協調 [第14回] 国際貿易の基礎理論(1):序論・貿易はなぜ起こるか? [第15−16回] 国際貿易の基礎理論(2):比較優位の理論(リカードモデル) [第17−18回] 国際貿易の基礎理論(3):資源と貿易(ヘクシャー=オリーンモデル) [第19−20回] 貿易政策の基礎理論:関税と輸入割当5.マクロ経済政策の有効性についての論争 [第21回] 貿易政策の政治経済:自由貿易擁護論VS自由貿易反対論 [第22回] 国際貿易体制:GATTからWTOへ・地域連携の進展