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企業 経 済 論 B |
テーマ
従来の伝統的な主流派経済学(現代経済学やミクロ経済学の講義の基本部分に相当)では「ブラックボックス」とされていた「企業」に関して、ゲーム理論(1994年、2005年度ノーベル賞受賞分野)、情報の経済学(2001年同受賞分野)、契約と組織の経済学などの新しいツールが開発・応用され、「具体的な研究」が大いに進んできた。本講義では、「企業内」および「企業間」の企業組織に関する興味ある諸問題について、教育レベルでも重要なツールとして近年定着した感のある「ゲーム理論」や「情報、契約、組織の経済学」を主たる分析用具として考察する。講義では、もちろん純粋な理論も解説するが、同時に、現実の企業問題へのそれらの理論の応用の仕方や、最近の「企業の理論」の進展の本質的アイディア(idea)や視点(view)の部分を分かり易く伝えるよう配慮する。
講義計画
(1) 企業とは何か? 導入および先行研究の紹介。
(2) 「企業間 (Between Firms) 取引関係」の分析。
・「ホールドアップ問題」
・グロスマン+ハート+ムーアの「資産所有 (Asset Ownership) 」アプローチとその展開。
・「長期的取引関係」――「繰り返しゲーム」による分析とその展開。
(3) 「企業内 (Within Firms) インセンティブ」と諸問題。
・「インセンティブスキーム」の基礎と応用。内部組織改革など。
・アギオン+ティロールの「権限 (Authority) 」配分、権限委譲のモデルとその展開。
・企業内活動 (activities) の「調整」、「分権化・集権化」の問題と諸側面。
(4) 企業の境界の(内生的)決定。統合vs非統合、内製vs外注 (Make or Buy) など。
文献案内
主たる参考文献は以下の通りだが、授業内にレジュメや資料を適宜配布する。
1. ミルグロム+ロバーツ 『組織の経済学』(奥野・伊藤ほか訳)NTT出版
2. マックミラン 『経営戦略のゲーム理論』(伊藤・林田訳)有斐閣
3. ラジアー 『人事と組織の経済学』(樋口・清家訳)日本経済新聞社
4. Oliver Hart Firms, Contracts, and Financial Structure Oxford University Press
5. 藤本・西口・伊藤編『サプライヤーシステム』 有斐閣
6. 鈴木豊 「「日本企業のコーポレートガヴァナンス」をゲーム理論で解く―企業間取引関係と内部組織改革―」
『ゲーム理論で解く』(中山・武藤・船木編)有斐閣
7. 鈴木豊 情報経済論WebSite http://prof.mt.tama.hosei.ac.jp/~yutaka/jouhou.htm/
評 価
期末試験による。場合によっては、レポートを課すこともありうる。
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