|
経 済 数 理 基 礎(2004年度からは、カリキュラム変更につき、この科目名での開講はありません。) |
大学院基礎コース (1998~2000年度、2003年度)
講義内容
経済問題の主たる数理的分析方法、特に、1. 制約条件付き最適化問題、
2. ゲーム理論、の考え方と技法を
修得することを目標とする。講義では、様々な「概念」や「技法の解説に加えて、それを具体的にどう使えばよいかを、
契約理論、理論的産業組織論のモデル分析を通じて提示する。講義の順番としては、先に「情報、契約、組織の
経済学」を体系的に解説し、その中で上記1,2に適宜触れる。その後でそれを「ゲーム理論」的に基礎付けする
(特に前者で使った、あるいは暗黙のうちに使っていた均衡概念についてきちっと解説する)、そして残りのトピックに
ついても触れるというやり方にしたい。
→ 1999年度 経済数理基礎最終試験問題 ClickMe
→ 2000年度 経済数理基礎中間試験問題 ClickMe
講義予定 (後期集中)
1. 「不確実性と情報の経済学」の解説、リスク・シェアリングの問題など。
2. エージェンシー理論の基本モデル(プリンシパル・エージェントのモデル)、モラルハザード(Moral
Hazard)、
インセンテイブを引き出す手段(歩合給など)、リスクとのトレードオフ
3. 複数エージェントの理論:トーナメント、チーム生産の理論とその応用
4. 逆選抜 (Adverse Selection) 問題と、自己選抜メカニズム (Self
Selection) を通じた情報の開示:
基本モデルの解説
5. 結託 (Collusion) と組織の理論、結託を通じた情報操作の可能性とその文脈、代表的
モデルの解説
(キューン・タッカー問題の適用例)とその応用例
6. 不完備契約の理論とその応用:ホールド・アップ問題、資産所有アプローチ、権限委譲など。
7. 独占とその応用:価格差別の基本および応用問題、外部マーケットvs. 内製のモデル、通時的価格差別と
その応用(耐久財など)cf.動的最適化、後ろ向き帰納法の解説
8. 寡占市場の基本モデル:クールノー競争、ベルトラン競争のモデルとその応用、"ナッシュ均衡"の概念の確認、
補足(混合戦略とその意味、均衡の存在など)
9. 2段階ゲームとその応用、"サブゲーム完全均衡" の概念、"意味のある脅し"(Credible
Threat) と
"ハッタリ" (Empty Threat)、代表モデル(シュタッケルベルクゲームなど)とその応用例
10. ルービンシュタイン (Rubinstein) の交渉ゲーム(有限、無限)と応用例(組織のモデル)、繰り返しゲーム
(Repeated Games)の簡単な解説、応用例
11. ベイジアンゲームの解説とその応用例:非対称情報下の寡占競争、オークション、非対称情報下の規制モデル
12. 1. から11. の(主として理論上の)補足、いくつかの具体的モデル分析(問題設定→定式化
(抽象化:モデル設計) → 分析 → 結果 → インプリケーションを考える)の中で、「概念」、「技法」の理解を
確認。今回は次の4つを用意した。なお、トピックも随時補充する予定である。
(1) ストックオプションとそのインセンテイブ機能:ボーナス契約の応用
(2) 下請制度における誘因構造:トーナメント理論、動的寡占モデルの応用
(3) 最適国際環境政策の設計:非対称情報、結託と自己選抜メカニズムの応用
(4) コミットメント、再交渉と「制度改革」:不完備契約と再交渉設計の応用
|
|